ファーストラン体験のUXデザイン事例「Squarespace Note」

AQでは、ユーザが初めてプロダクトに接した時の体験のことをファーストランと呼び、そのUXデザインは主要機能と同じくらい重要なものだと捉えています。本シリーズでは、気になったファーストラン体験を解説・評価します。

Squarespace Note」はふと思いついたアイディアを簡単に記録して、メールやTwitter、Evernoteなどのサービスへ送るミニマルなメモアプリです。メニューのような基本的なインターフェース要素は省略されていて、真っ白な画面からスワイプを通してアクションが発生する仕組みが特徴的です。

Squarespace Noteのファーストランでは、まず説明から入る「チュートリアル型1」という、スマートフォンのアプリで良く見られる設計アプローチを取っています。このアプローチには、ユーザがチュートリアルを通じてアプリを正しく理解することが前提となるところ、実際は読み飛ばされることが多いので、思い違いが発生するリスクがある、という弱点があります。

ユニークなUIが搭載されているミニマルなデザイン

残念ながら、Squarespace Noteではまさにそのことが起きています。

チュートリアルでは、ステップごとの解説として「文字を入力してください」や「スワイプで移動します」などの説明が表示されます。しかし動画形式なので一回タップするだけでが再生が始まり、気づけばチュートリアルは終わっていて、メモページである真っ白な画面に放り出されます。

これではチュートリアルを体験したところでユーザは何も身につけないまま終わってしまいます。アプリ提供者は、せっかくチュートリアルを入れることで使い方を伝える努力をしているのに、アプリの特徴が障害となってしまっています。スワイプするだけで使えるメモアプリとは、言い換えるとスワイプのアクションを覚えないと使えないアプリです。

改善策としては、チュートリアル内で敢えてユーザにスワイプをしてもらうことで、体を使って達成感を感じてもらう仕組みが考えられます。メモアプリは他にも山ほどあるわけで、ファーストランを通じて本アプリの特徴を明確に理解してもらい、ワクワク感と信頼感を感じてもらうのが大事になってきます。

ファーストラン体験の評価:★★☆☆☆

1. ファーストラン設計のアプローチに関しては、ユーザに愛されるかが決まる初回起動後のUXデザイン:「ファーストラン」のつくり方を参考にしてください。