イベントレポート: The New Context Conference 2011 Fall

Paul、Tomomi、僕の3人でDigital Garage主催のThe New Context Conference 2011 Fallに出席しました。カンファレンスが目指すのは、旧来的な ウォーターフォールモデルで運営されることの多い日本のウェブ業界にLeanスタートアップのコアコンセプトを紹介すること。そのために、Digital GarageのCTO(最高技術責任者)であるIan McFarland氏が一同に集めたのは、世界中でLeanスタートアップを熱心に後押ししていて、影響力のあるオールスター!

カンファレンスは二日間におよび、木曜日は登壇者とパネリストで構成された従来の形式で、金曜日はより即興的なアンカンファレンス形式で進行しました。

さて木曜日の朝、カンファレンスはMIT Media LabJoi Ito氏による、壮大でエネルギー溢れる「AI (After Internet)」の世界に関する分析で幕を開きました。Joiは、その中で最も偉大なイノベーションをもたらした手法や考え方に触れ、「地図ではなく方位磁石を持って進め」と訴えました。これは、Leanな企業の根本的な必須条件として、カンファレンスの他の登壇者たちの発言とも共鳴する呼びかけとなりました。

A photo of the panel session with some liberal hand-waving

Leanスタートアップの統合されたデザインと開発。撮影:Chiaki Hayashi

木曜日の午後には、Digital Garageの安田幹広氏の司会で行われた、Leanスタートアップにおけるデザインと開発の統合を議論するためのパネルセッションです。僕は、Joi Ito氏、ElabsCJ Kihlbom氏、HyperTinyBrian Flanagan氏と共に参加しました。今年のイベントのテーマでもあるLeanスタートアップは、Eric Ries氏によって広められた言葉で、より俊敏にマーケットニーズを把握し対応するためにアジャイルなビジネス、デザイン、開発プロセスに基づいて運営されている企業を指します。

CJによる、自身のアジャイルウェブ開発に特化した会社Elabsで、デザイナーとデベロッパがどのように一緒に働いているのかについて短いプレゼンで始まりました。彼の会社では、肩書きがデザイナーであろうがデベロッパであろうが、やりとりが紙の上のスケッチであろうがHTMLのプロトタイプであろうが関係なく、チーム内で同じ問題に同じ時に同じメディアで取り組んだ方が良い結果が出るということでした。

パネリストたちは、そういった共同作業は、ツールだけでなく、価値観、テイスト、そしてお互いに対する敬意を共有するところから始まらなくてはならないという点で、満場一致の同意。僕は、例えばプロダクトを形作るためにまず鍵となるコンテンツを一緒に書き上げるといったような、デザインや開発に直接関係のないクリエティブな課題からプロジェクトを始めることが共同作業の成功につながったという、AQでの経験を紹介させてもらいました。

木曜日は、「高成長の新規事業内に高パフォーマンスのプロダクトチームをつくること」に特化した、サンフランシスコを拠点とするコンサル会社LuxrのJanice Fraser氏による、Leanスタートアップのコンセプトの紹介で幕を閉じました。彼女は「オフィスから出て」ユーザと話すこと、振り返った時に恥ずかしくなるぐらい早い時期にリリースをすること、そしてプロダクトが問題に対して解決策を提供しているかだけでなく、プロダクトがマーケットに適合しているかどうかを常に問い続けることの重要性を強調しました。

Photo of our Unconference session on Lean Content, lead by Chris and Tomomi.

AQ主導のLeanコンテンツについてのアンカンファレンス

金曜日には、僕とTomomiが司会役を買って出てアンカンファレンスのセッションを行いました。議論したのは、Leanスタートアップの考え方をコンテンツ戦略やコンテンツ制作に適応したらどうなるかということ。このセッションを通じて、責任所在の曖昧さやコンテンツの範囲の設定など、コンテンツ制作のプロセスでしばしば生じる様々な問題が掘り起こされました。最後には、AQのトップシークレットのプロダクトをさらけ出し、参加者にどうやったらコンテンツの質を下げることなくローンチまでの障壁を下げることができるかについてアイディア出しをしてもらいました。完全に自分たちで全てをやるDIYからウィキペディア風のクラウドソーシングまで、様々なコンテンツ制作の選択肢を比較して、それぞれを採用した際のコミュニティ形成、コンテンツの質・量などに関する潜在的なトレードオフについて話し合いました。

このイベントに招待して頂いたOpen Network LabのHiro Maeda氏をはじめ、大勢の登壇者の皆さんや参加者の方々に心から感謝します。色々なことを楽しみながら学ぶことができました!