July 3rd, 2007

ペチャクチャナイト with ビール:正しい楽しみ方ガイド

Written by Paul Baron


Reproduced with authorization. Thanks Christophe

毎月恒例となっているこのイベントは、もともと東京で生まれ、今や全世界70都市以上で開催されるまでになっている。
ごく単純な形式に則って、世界中のクリエイターが作品やアイデアを多くの人前でプレゼンテーションをする場として重宝されている。

  • スライド20枚、1枚あたり20秒が与えられる。合計6分40秒が持ち時間。
  • スライドは、静止画だけでなく映像でもOK。
  • 内容は自由。

ペチャクチャナイトが素晴らしいのは、たくさんの人が行き交うパーティーとしてのカオスな状態と、美術学校の批評会を思わせるような緊張感の両方が常に保たれていることにあると思う。注目されたいプレゼンテーターがいつも必死に戦っているのが見てとれる。 赤コーナー、作品を「売りたい」プレゼンテーター。青コーナー、ビールを売りたいバーテンダー。プレゼンが上手いほどビールの売り上げは下がり、下手なほどビールが売れることになる。

といいつつ、中には僕のように飲まないものもいる。僕は、この30ヶ月を通して15回以上、東京のペチャクチャナイトに足を運び、3回(Tokyo Art Beat, Divvy/Dual#1, AQ last month)人の前に立った。そこで、常連の参加者としていくつかアドバイスができればと思う。ビールに頼らずとも、話が弾む素晴らしいプレゼンにするために。

(注意!ほかのどんな自己表現と同じようにルールは破る為にあるもの。たんなる酔っ払いや無口なビデオアーティストが素晴らしいプレゼンをするのを見たこともある。)


Reproduced with authorization. Thanks Ashley

準備

テーマを選ぶ

基本的なのはポートフォリオだが、それが必ずしも必須というわけではなく、趣味の話が成功したこともある。雲の写真、愛についての分析、ハネムーンの写真など、要するに説得力があれば何でも構わない。

ストーリーを考える

ポートフォリオのプレゼンでも、全スライドを統一したストーリーでつなぐように展開するとよりよいものになると思う。スクリーン上のイメージを説明するだけでなく、自分の思考過程や、ひらめきなどを披露するようにする。そうすることで聞いている人を引き込むことができるのだ。

時間をかけること

丁寧に時間をかけてつくること。テーマ選択、資料収集、脚本作成、ペースの調整、など時間が掛かるステップばかり。数日間に渡って6時間は時間をかけることが必然だ。

練習を繰り返す

スライドが完成したからといって、人の前に立ってプレゼンをする準備が出来たわけではない。どのくらい練習したかによって20秒はあっという間にも、永遠にも感じられる。軽快なテンポで話し通せ、内容も完全に把握した状態で、違和感が無くなるまで練習するといいだろう。

  • 誰を相手にしてもいいから、実際に人前で練習する。
  • 立つ。
  • 声を出す。(相手はほろ酔い気分だ。)
  • 身振りと声のトーンに注意する。背筋が曲がっていたり、緊張でこわばっていたり、つまらなそうにしていないか、ということに気をつけながら。
    自分が聞いていたら、プレゼンが楽しめるかどうか想像してみる。もしつまらなかったら、納得いくまで何度でも直す。


Reproduced with authorization. Thanks
Jan

いざ本番!

最初の一言

プレゼンテーションの内容を明かさずに、手短に自己紹介をする。

話すポイント
  • ペチャクチャナイトは名前の通り、話し合う場所だ。プレゼンテーションによって言葉の数が違うのは当然だが、黙っているわけにはいかない。聞いている人たちは映画を見るためにペチャクチャナイトに来たわけではなく、話を聞くために来ているのだ。
  • 思い切って声を出すこと。前のプレゼンテーションと区切りをつけ、場の雰囲気を引き締めることが出来るだろう。声が大きすぎて「うるさい!もう少し静かに話してくれ。」なんて言われるわけがないのだから。
  • マイクに向かって話す。動くときは頭と一緒にマイクも動かさなければ、スクリーン上を振り向いて指差すときに声が一瞬途切れてしまうので注意が必要だ。
  • 呼吸する。観客も言っていることを理解する間が必要だし、テンポに乗った話の方が、延々と流れ続けるものより分かりやすい。間を上手く使って話の流れを調整しよう。
  • はっきりと話す。
  • 話の内容の時間を計り、スライドをコントロールできるようにする。テンポが崩れてしまったら一端呼吸をして、次のスライドから取り戻せば良い。
2ヶ国語以上で話す場合

2ヶ国語以上でプレゼンテーションをする場合、各スライドにつき10秒ずつ、ほんの少ししか話せない。話し終わる前にスライドが次に移ってしまうかもしれない。もしそうなっても新しいスライドを2つ目の言語で話し始め、| A•B | B•A |のリズムでプレゼンテーションを通してもいいだろう。言語の切り替えが少なくて済むので話し手にとっても聞き手にとっても楽なはずだ。

ボディーランゲージ

観客に向かってプレゼンテーションする。話し相手は、靴ではなく、プロジェクターでもなく、壁でもノートでも最前列でもない。にっこりしながら観客の目を見て、全員とそしてひとり一人と話そう。

持久力

20秒は確かに短いが、6分40秒となるとかなり長く感じる。20スライドを通して同じ勢いを保たなければ、観客はうんざりしてしまうだろう。

最後に
  • お礼を言う。
  • 連絡先を残す。次の段階に繋げよう。
  • 自己宣伝をするなら、洗練されたやり方か、ユーモアがある言い方がベター。
  • 最悪の場合、そのまま観客に飛び込んで身をまかせる手もある。

プレゼン後も気が抜けないのだ

すぐに帰っては、、、いけません!部屋を見渡して人の反応をこっそりうかがう。もしかしたら誰かが話を始めるきっかけを待っているかも知れない。言いたいことを言ったところで、相手が対応するチャンスも与えてあげるべきだ。

ペチャクチャナイトは、数時間で大都市のクリエイターを垣間見ることができるまれな機会だ。単なるスライドショーではなく、人間同士の会話、人間関係を築く場として維持されている。遠慮せずに作品を発表し、ちょっとした衝撃を残して、ペチャクチャナイトをより良いものにみんなで作り上げていこう。

ポール・バロン2002年、インタラクション・デザイナーとしてホンダの研究開発グループに参加するために東京へ移住。2003年、日本のアートとカルチャーを広げるためにtokyoartbeat.comを共同設立。ポールの記事をもっと読む


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